ランニング二十五日目

 この日は朝から雨が降り、涼しげな日だった。降ったりやんだりであまりはっきりしない天気。それでも家を出た朝はちょうど雨が小降りになっており、かっぱを着るほどではなかった。帰るときもそんなに降っていなかったのでかっぱを着なかった。家に着いてしばらくして窓の外を見ると、けっこう降っていた。”これはランニング中止かな。”と思った。夜になり、ランニングの時刻になる前に再び窓の外の様子をうかがった。雨がやんでる!”あぁ今日は休めると思ったのに…。”という思いと、”雨がやんだならランニングしなきゃ。”という思いがからみ合う。そうだ、できるだけ休んじゃいけないんだ、と気持ちを切り替えランニングの準備をし始めた。
 雨の降ったあとだから涼しいんじゃないかと外に出てみると、すっごい涼しい。これはランニングしやすそうな気温だ。雨もすっかりやんだし、この機を逃し、いつランニングをするというのか。
 ストレッチをする。実は下半身がちょっと痛い。前回、前々回あたりからなのだが、左おしりの下あたり、右ひざの上あたりに時々痛みを感じる。常に痛むと言うわけではなく、朝起きたあととか、家に帰ってきてぐったりしている時とか。しかし不思議なことにランニング中は痛みを感じないのだ。なんで?なんでかな。よくわからないがランニングを休む理由にはならないのだ。屈伸をすると、やはりひざあたりに負荷を感じる。以前ランニングを断念したときはひざ下の痛み。今回はひざ上。微妙に位置が違う。
 涼しげな夜のランニングをスタート。走り始めると、やっぱり涼しい。風が冷たい。といっても寒くはない。エアコンの風を直接浴びたような気分。これは気持ちよい。水たまりもないし走りやすい。足は重いけど。やはり疲労感を身体全体に感じる。走るのが少しつらい。まぁ前半はいつもこんな感じなのでとりあえず今はがんばるしかない。
 いつものコース、川沿いへ。ここにくると特に風の恩恵を肌に感じる。何もさえぎるものがなく、川からの強めな風が吹いてくる。こりゃいいわ、と思いつつ走る。走っているので身体は熱いが、クーラーのような風が冷やしてくれる。まるでパソコンのCPUにでもなった気分。途中ランニングしている人を発見。雨があがったばかりなので走っている人いないだろうなぁと思っていたが、あぁ他の人もがんばっているんだなあ。しばらく行くとまたまたものすごいスピードで車が僕の横を走り過ぎ去ってゆく。怖いなぁ。ここ最近、後ろから来る自動車に恐怖感をおぼえる。ちゃんと僕の姿が見えているのか心配だ。もし自動車が後ろから突っ込んできたらジャンプして避けられるのか…とか妄想したりする。いや後ろに目があるわけじゃないし、無理でしょ。
 折り返し地点へ。ここまで汗はかいていない。このとても涼しい夜に汗なんかかくはずはない。用水路までの道を走っているとぶわぁっと向かい風が吹いてきた。これは気持ちよすぎる。なんて素晴らしい夜なんだ。
 後半なかばになってきて、汗がにじんできた。さすがに身体を使っているので、いかに涼しい夜とはいえ、汗は出るのか。今日は汗かかないと思っていたのに。やはりランニング中は身体の痛みを感じない。走れるのはよいことだ。日ごろ感じている疲労感も、ランニングしていると全然気にならない。交差点に出る。ちょうど車が接近してきたので立ち止まる。小休止して、再度出発。延長コースを走ればちょうどいい時間になる。一応書いておきますけど、僕のいつものランニング時間はたった30分程度です。なんか宇宙刑事的な言い方だ。”ギャバンの蒸着時間はわずか0.05秒に過ぎない。”みたいな。0.01秒だっけ?どっちだか忘れた。
 最後の直線コースを走りぬけ、終点へ。汗が流れ落ちてくる。やっぱりけっこう汗かくんだなぁ。終点はいつも広々とした空き地があるので、風がたくさん吹き抜けてゆく。秋の夜風、静かな夜、ここちよい疲労感、なんかこのまましばらく立ち止まっていたい気分。夜空を見上げると、不思議といつもよりものすごく広く見える。
 
 翌朝起きると、いててて…。ひざとおしりが痛い。しばらくすると痛みはなくなるんだけど。たまには何日かランニング休んでもいいのかなぁ、とか思う。