ランニング三十四日目

 朝起きたとき、雨はほとんどやんでいた。ただ風がすごかった。これが台風のパワーなのか。うちの屋根大丈夫かな。少し心配だ。いやかなり心配だ。玄関を開けると、外に干してあったカッパとハンドルカバーが隅っこに吹っ飛んでいた。どっかいってなくてよかった。それにしてもすごい風だ。
 朝バイクに乗り、いつもランニングしている例の川沿いの橋まできた。川が…すごい増水している。これは危なかった。まだ余裕はあるように見えるが、どこからあふれ出てくるかわからない。川沿いに住んでる人々はたいそう不安だったろう。9時ごろになると風は強いが、暴風というほどではなくなった。涼しくて気持ちいい風だ。昼休憩になって外に出てみると空がものすごく青い。まるで青いレンズのような美しさ。空ってこんなに青くなるのか。この青さには怖さも感じる。
 帰りには風は穏やかになった。この時間になると徐々に寒さを感じるようになった。なんか秋らしい感じ。今日は確実にランニングできる。帰りも川を渡ったが、いまだ川の水量は変化なさそうだ。そういえば朝の防災無線で、”川が逆流する可能性もあるので注意してください。”とか言ってたっけ。そんなことあるの?
 そんなこんなでいよいよランニングの時間になった。なんか久しぶりな感じ。この休んでいた期間でふたたびよけいな肉がついていないか心配。でも少しは体力は回復したかな。関節も良くなっていたらいいけど。
 準備を終え、夜の外へ。寒いかな?寒いが耐えられないというほどではない。まだまだこのくらいの季節で寒いとか言っていたら冬ランニングできないじゃん。それにランニングしているうちに身体が暖まってくるって。
 ストレッチを終え出発。うぅ寒いかも。でも脚の調子はいい。いつもストレッチでふくらはぎをもんでるのが効いているのかな。それとも他の要因があるのか。脚が軽め。関節も今のところ大丈夫。
 川沿いのコースへ。風がびゅうびゅう吹いている。台風の名残なのか。川を見ると、暗闇に中にあふれんばかりの水量。大量の水が流れているのだ。正直怖さを感じた。まるで川に吸い込まれそうな…夜の川ってこんなに恐ろしいものなんだ。いつも見慣れているこの川に恐怖と偉大さを感じる。自然を前にして人間がいかに無力なことか。あぁなんて僕は無力なんだ、とかはあんまり思わないで走り続ける。ん?なんか暗いぞ。対岸の運動施設の灯りが消えてる。今日は休館日なのかな。なんかすごく寂しい夜だ。風が吹くたびに木々の葉のすれる音が、よけいに今日の夜の静けさ、寂しさををじょちょうさせる。しかし今日は折り返し地点が遠く感じる。しばらくランニングを休んだせいか。昼間と違い、夜空には雲が覆っている。その隙間から星がかいま見える。
 ようやく折り返し地点へ。ん、風が弱まった?ここまでくるとちょうどよく身体があったまってきた。
 用水路沿いのコースへ。ん~風がない。そうか、風向きが夏ランニングの時とくらべて反対なんだ。おまけに住宅街の用水路沿いなのでよけい風が通ってないんだ。まぁ涼しい夜ではあるんだけど。と、遠くの用水路沿いに黄色い回転灯が見える。なんだろう、救急車?でも赤くない。黄色だ。不思議に思いつつも空の星と回転灯を交互に眺めながら走り続ける。はやく黄色い回転灯の正体も確認したいと思う。だんだん近づいてきた。家についてるのかな?でも防犯用にしては明るすぎないか?さらに近づくと、ようやく正体が判明した。家の防犯用の灯りじゃない。貯水池のそばの電信柱の低い位置に回転灯が回っている。なんとなくわかった。貯水池の水量が一定の高さを超えたので、注意喚起に自動的に回転灯が回っているのだ。でもこんなのはじめて見た。こんなシステムが備わっていたなんて。家に帰ってから調べたら、このコンクリートで作られた貯水池は”オープン式調整池”というらしい。僕のいつも走っている用水路沿いの道にはこういう調整池が3っつくらいある。そのうちの一つだけ光ってる。僕はこういうコンクリートの施設が大好きだ。なんかワクワクする。でも、暗闇で、何の変化もない大量の水ってのも不気味な感じがする。
 後半なかばになって背中に汗がにじんできた。やっぱりこれだけ涼しいと汗はあまりかかない。大通りに出ると車が2台来たので小休止して、左右確認して渡る。夜ランニングは車に特に注意しないと。
 腕時計を見ようとしたら、ベルトがはずれてしまった。でもびっくりしない。もう数年前からはずれやすくなっているのだ。修理してもらおうとお店に行ったら”1万円かかります。”とかきいて、修理はやめた。はずれやすいけど、そんな頻繁にはずれることもないし、1万円出すなら新品買った方がいいじゃんと思う。
 用水路つきあたりに来た。あれ、街灯が光ってる。いつもここは真っ暗だったのだ。やっと直してくれたんだな。灯りがあるのとないのじゃ安心感がえらい違うのだ。夜ランニングはやっぱり怖い部分もあるよ。どこから何が出てくるかわからないからね。
 最後の直線コースだ。疲労感もないし、息苦しくもない。今日はいいランニングできたっぽい。そして終点に到着。汗はかいているがたれてこない。ウォーキング中も涼しい風が身体を冷やしてくれる。汗も乾きそうだ。
 
 この文章をかいているときに”閃輝暗点”が。画面が見づらい。あ~このチカチカが視界から消えたら頭痛くなるのか。偏頭痛は久しぶり。いやだなぁ。